パリの街が汚い理由

2019年9月30日

2019年9月中旬、World Cleanup Day(地球をキレイにする日)、フランス語だとla journée mondiale du nettoyage の日にちなんで The Guardian というイギリスの大手日刊紙がパリについてある記事を発表しました。

ざっくり言えば「パリの街は汚い」という内容。

記事の内容の一部はこんな感じです↓

“ La ville de l’amour est devenue la ville poubelle ”(愛の街はゴミ箱の街になった)

“ Paris comme  l’homme sale de l’Europe ”

壁への落書きが多かったり、ゴミが道端に落ちていたり、貸出し自転車が道端に放置されていたり、犬の糞が落ちていたり、タバコのポイ捨てだったり、ホームレスがメトロやベンチで寝ていたり…とパリの街の汚さについてあれこれ厳しく言及しています。

まぁ、納得。パリに住む人たちも何も反論はできないと思います。

パリの街を汚しているのは観光客ではなく、パリに住む人たちがほとんどで、本人たちも自覚していると思います。もちろん、ゴミを道端に捨てない人もいますが。

パリへ来たことのある方なら分かると思いますが、実際、パリの街は汚いです!

パリのこの現状をAnne Hidalgo(アンヌ・イダルゴ)パリ市長も認めており、“ Il faut que chaque citoyen se prenne en charge. ”(パリ市民は1人1人自分のしていることに責任を持たなくてはいけない)と言っています。

街がきれいになると清掃員の雇用が失われてしまうという理由で、わざと犬の糞を放置したり、ゴミをポイ捨てしたりする人がいるというのをフランスではよく聞いていたので、「これがパリの街が汚い理由なのかな?」と思っていましたが、Anne Hidalgo市長いわく、パリの街が汚いのは「un problème d’éducation(教育の問題」だそうです。

「他者や環境、自分たちが住んでいる場所への敬意や配慮といったものを基礎から学び直さないといけない」と述べています。

というわけで、清掃員の雇用を守るという理由は単なる言い訳?という考え方もあり。確かに、「面倒くさいから」という理由で犬の糞を拾わなかったり、ゴミをポイ捨てする場合には「清掃員の雇用を守るため」という理由は善意を装った最良の言い訳にもなるかもしれない。実際のところはどうなのか分かりませんが…

他者への配慮という点では、日本人は学校や家庭で子どもの頃からしっかり教育されているので、日本の街がキレイというのは納得できますね。

そう考えると、パリの街が汚いのはやっぱり教育やモラル、マナーの問題なのかな?

道端に犬の糞やゴミが落ちていたりするパリらしい風情も嫌いではないけれど、衛生面を考えたらあまり良くないし、やっぱり皆が気持ち良く暮らせる街にすることが一番大切ですね。

というわけで、パリでは街をきれいにするためにゴミ拾いをするボランティア団体があったり、DansMaRue というアプリケーションを使用して公共の場の質を向上させる取り組みをしています。

DansMaRue というアプリケーションは公共の場で何か気づいたことがあれば、位置情報と写真付きでパリのサービスセンターに知らせることのできるシステムになっているようです。

例えば、壁への落書きや道端の汚物、歩道の突起物、粗大ごみの不法投棄、動物の死骸、視覚障害者のための誘導用ブロックの欠如、街灯の故障、不法駐車、状態の悪い木などなど。

1人の努力では街の環境を変えることは困難なので、市民みんなで取り組めるこういった改善方法はいいなと思います。

いつかパリの街がきれいになる日が来ればいいな。

【関連フランス語】

la poubelle : ゴミ箱
la saleté : 汚さ、不潔
la propreté : 清潔さ
le graffiti : 落書き
les détritus : ゴミ
la crotte : (動物のまるい)糞