フランス語に訳すのが難しい日本語10選

2020年5月28日

フランス語を学習中の方なら、日本語で思ったことをフランス語で書いたり、話したりする際、「なかなか適切なフランス語の単語や表現が見つからない」といった経験が1度はあると思います。

私自身もフランス語学習の一環として、たまに自分の思ったことや考えをフランス語で文章にして書くという練習をしていますが、「ぴったりのフランス語が見つからない」といった経験が何度もあります。

言葉はその国の文化や習慣、国民の美意識や感性、思想などが影響している場合があるので、他の言語に訳すのが難しい単語や表現が存在します。

そこで今回は、フランス語に訳すのが難しい日本語を10つご紹介したいと思います。

木漏れ日 / Komorebi

「木漏れ日」とは、木々の葉の間から太陽の光が漏れる光景のことです。

フランス語には「木漏れ日」に相当する単語はなく、表現するとしたら「La lumière du soleil qui filtre à travers les feuilles d’un arbre (木々の葉を通過する太陽の光)」のように説明するしかありません。

ちなみに「新緑の季節」という言葉もフランス語ではあまり使われないようです。

森林浴 / Shinrinyoku

「森林浴」とは、森林の静かな自然の中で、きれいな空気を吸って心と体に癒しを与えることです。

「森林浴」をフランス語に直訳すると「Bain de forêt」で、プチ・ロワイヤルの和仏辞典では、「faire forestier」と出てきますが、どちらのフランス語も実際にフランス人に聞いてみたら、「何それ?」という反応で本来の意味が通じませんでした。

「Bain de forêt」と言って意味が通じる人もいると思いますが、通じない場合は「森林浴」を「prendre un bol d’air en forêt(森林で外気に当たる)」などとフランス語で説明するといいかと思います。

木枯らし / Kogarashi

「木枯らし」とは、秋の終わりから冬の初めにかけて吹く冷たい風のことです。

「木枯らし」をフランス語で表現するとしたら「le vent frais qui souffle à l’arrivée de l’hiver(冬の訪れに吹く冷たい風)」などと説明的に表現するしかありません。

わびさび / Wabi-sabi

Wikipedia によると「わびさび」とは、日本人の美意識の一つで、人の世の儚なさ、無常であることを美しいと感じる美意識のこと。

「わびさび」は日本人特有の美意識なので、外国語に訳すのは難しいですね。

フランスでは日本語のまま「Wabi-sabi」と使われることもあります。

フランス語でちゃんと説明しようとすると奥が深いので大変ですが、簡単に一言で説明しようとすると「trouver la  beauté dans les imperfections(不完全なものにこそ、美がある)」みたいな感じになると思います。

猫舌 / Neko-jita

「猫舌」は熱い食べ物を口にできないこと(人)のことです。

フランス語に直訳すると「langue de chat(猫の舌)」ですが、フランス人にこう言ってしまうと、焼き菓子の「ラング・ド・シャ」を連想させてしまう可能性があります。

フランス語で「私は猫舌です」などという場合は「Je ne peux pas manger ts chaud(熱いものを食べるのが苦手です)」のように文章にして伝えなければいけません。

日本通のフランス人には、日本語のまま「Neko-jita」といっても通じる場合があるかもしれませんね。

積読 / Tsundoku

「積読」とは、購入した本を読まずに自宅に積んで放置している状態のことです。

Wikipedia によると、「積読」という言葉は、日本で古くから使われている言葉で、日本語以外の言語には同様の観念や習性を表す言葉はないらしく、2010年代に「Tsundoku」として海外に広まったようです。

フランス人の夫も「tsundoku」という日本語をフランス語の日常会話の中で普通に使っています。

フランス語で「積読」を表現する場合は「accumuler les livres sans les lire(本を読まずに積んでおく)」などと文章で表現できます。

金継ぎ / Kintsugi

Wikipedia によると、「金継ぎ」とは、割れや欠け、ヒビなどの陶器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法のことです。

日本独自の修復技法なので、「金継ぎ」に相当する言葉はフランス語にはありません。

フランスでも日本語のまま「Kintsugi」と使われる場合があります。

フランス語で簡単に訳すと「réparation avec de l’or(金による修復) 」のように訳せます。

「金継ぎ」は日本の伝統芸術(l’art traditionnel japonais )の一つとしても注目されているようです。

ちなみに、私は「金継ぎ」という言葉をフランスで初めて知りました。しかも、フランス人から教わるという…笑

いただきます / Itadakimasu

「いただきます」は食事を始める際の挨拶ですね。

フランスでも食事をする際には、よく挨拶をしますが、日本語の「いただきます」に相当するフランス語はありません。

フランスでは、これから食事をする人に対してや一緒にテーブルを囲んで食事をする人同士で食事を始める際に「Bon appétit(召し上がれ)」と言います。

フランスのレストランなどでも、店員さんがお客さんに料理を提供した際、「Bon appétit」と言い、お客さんが「Merci(ありがとう)」と返答するというやり取りがあります。

ちなみに「ごちそうさま」もフランス語にはなく、「C’est était bon(美味しかった)」など感想を言うのが一般的です。

お疲れ様 / Otsukaresama

日本では職場などで仕事が終わった後に、同僚同士で「お疲れ様」と声を掛け合うことが多いと思いますが、フランス語には日本語の「お疲れ様」みたいに特に決まった表現はありません。

「On a fait un bon travail(私たちは良い仕事をしたね)」や「 À demain(また明日ね)」、「Bonne soirée(良い夜を)」など場合や人によって様々な表現が使われます。

行ってきます / Ittekimasu

日本では家を出る際に「行ってきます」と言いますね。

フランス語では日本語の「行ってきます」や「行ってらっしゃい」のように、特に決まった表現はないので、「Allez j’y vais(じゃあ、行くよ)」や「 À tout à l’heure(また後でね)」、À ce soir(また今夜ね)」など様々な表現が使われます。

ちなみに「ただいま」や「お帰りなさい」もフランス語では、特に決まった表現がないので、「Coucou」という軽い挨拶だったり、様々な表現が使われます。

いかがでしたか?

ここで紹介した以外にも、フランス語に訳すのが難しい日本語はまだまだたくさんありますが、ここでは10つをご紹介しました。

四季が豊かな日本には、他の言語には訳せない日本特有の美しい季語もたくさんありますね。

外国語を勉強するようになって、母国語の美しさや面白さに改めて気づくことも多くなりました。