「鶏(ニワトリ)」を使ったフランス語の表現10選

フランスの象徴でもあるニワトリ。

フランス語では、雄鶏のことを「coq」、雌鶏のことを「poule」、若鶏や鶏肉のことを「poulet」、雛鶏のことを「poussin」と呼びます。

日本語にも「鶏口となるも牛後となる勿れ」や「鶏群の一鶴」といったことわざがあるように、フランス語にも「鶏」を使った表現がたくさんあります。

そこで今回は、「雌鶏(poule)」を使ったフランス語の表現10選をご紹介したいと思います。

avoir la chair de poule

鳥肌が立つ」という意味の表現。「chair」は「(人間、動物)の肉、筋肉組織」という意味。日本語の表現では「肌(peau)」を使いますが、フランス語では「肉(chair)」を使うんですね。寒さや恐怖によって震え、ボツボツになった肌は羽をむしり取られた鶏の肉(肌)に似ていることから、この表現が使われています。

se lever / se coucher comme les poules

「se lever comme les poules」は「早く起きる」、「se coucher comme les poules」は「早く寝る」を意味する表現です。直訳すると「雌鶏のように起きる/ 寝る」になります。「comme」 の部分を 「avec 」にして「雌鶏と一緒に起きる / 寝る」ということも同じ意味の表現として使えます。

日が沈むと同時に寝て、日が昇ると同時に起きる鶏の早寝早起きの習性からこの表現が使われています。

bouche en cul de poule

とがらせた、すぼめた口」を意味する表現です。「bouche」は「口」、「cul」は話し言葉で「尻、けつ」という意味なので、直訳すると「雌鶏の尻のような形をした口」になります。唇を前に突き出した口の形が鶏のお尻(の穴)に似ていることから、相手を誘惑したりするための表情としてこの表現が使われているようです。現代では、自撮りする際に、この表情をする若い女性が多いですね。

poule mouillée

臆病者」「怖がり屋」「弱虫」という意味の表現。「mouillé(e)」は「濡れた」という意味なので、直訳すると「濡れた雛鶏」になります。雨に驚いた鶏は羽が濡れて動けなくなり、その衰弱した鶏の様子からこの表現が使われているそうです。恐怖やためらいから挑戦や困難な状況を避ける人をからかったり、批判する際などによく使われます。

nid de poule

路面の劣化によって生じる、水や泥が溜まった道路の小さな窪み(穴)のこと」を意味する表現。「nid」は「巣」の意味なので、直訳すると「雌鶏の巣」になります。路面がまだ存在しなかった時代に、雌鶏が道路にある穴に卵を産んで巣を作っていたことから、この表現が使われているようです。

quand les poules auront les dents

現実が不可能のこと」を意味する表現。「quand」は「時」、「auront」は「avoir動詞の単純未来形」、「dent」は「歯」という意味なので、直訳すると「雌鶏に歯が生える時」になります。ニワトリを含む鳥類全般には、歯がなく、今後も歯が生える可能性もゼロなことから、皮肉的にこの表現がよく使われています。

例)Tu serais riche quand les poules auront les dents.(訳:君がお金持ちになることは決してないだろう)

この表現の同意義語には「la semaine des quatre jeudis(木曜日が4日ある週)」という表現があります。1週間のうちに木曜日が4日もあるなんてありえないですもんね。

また近隣諸国では違った言い回しがあります。

イギリス:「quand les cochons voleront (豚が空を飛ぶとき)」
スペイン:「quand les grenouilles aurons des poils(蛙に毛が生える時)」
ドイツ:「quand les poissons apprendront à voler(魚が飛ぶことを覚えたとき)」
 

日本語のことわざだと「石に花咲く」とかでしょうか...

tuer la poule aux œufs d’or

目先の小さな利益のために、将来の豊かな利益の源を破壊する」という意味の表現。「tuer」は「殺す」、「œuf」は「卵」、「or」は「金」という意味なので、直訳すると「金の卵を産む雌鶏を殺す」になります。この表現は、イソップ寓話の「ガチョウと金の卵」の教訓からインスピレーションを受け、18世紀にJean de la Fontaine(ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ)の寓話「La Poule aux œufs d’or」の中で初めて登場しました。

l’œuf ou la poule

原因と結果が混同されている状態」「解決できない問題」という意味の表現。訳すると、日本語にもあるように「卵が先か、鶏が先か」になります。

この表現では「どちらが先に現れたのか」が問題となっています。「鶏がいないと卵は産めない」「卵がないと鶏が産まれない」という因果関係のジレンマ(矛盾)から「満足のいく答えが見つからない」という意味で使われています。

mère ( maman ) poule

過保護の母親」「心配性の母親」という意味の表現。母親の雌鶏は自分が産んだ卵や雛鶏を注意深く見守り、危険だと判断した相手には顕著なく攻撃をします。こういった母親の雌鶏のイメージからこの表現が使われています。「過保護の父親」と表現する場合は「papa poule」と言います。

une poule n’y trouverait pas ses poussins

大混乱」「カオスな状況」という意味の表現です。「trouverait」は「trouver(見つける)の条件法現在」、「poussin」は「雛」という意味なので、直訳すると「雌鶏は雛鶏を見つけられないだろう」になります。

「mère poule(心配性の母親)」という言葉があるように、雌鶏は母性と多産を象徴する動物です。母性本能が非常に発達している雌鶏が自分が産んだ雛鶏を見つけられない(見失う)ということは、かなりの大混乱を引き起こします。

人間の場合も一緒で、もし自分の子どもが迷子になってしまい見つからなかったら、親は大混乱になりますよね。

いかがでしたか?

ここでご紹介した以外にも「雌鶏(poule)」を使った表現はまだありますが、ここでは10選をご紹介しました。

是非、フランス語学習の参考にしてみてくださいね!