フランス人はエアコンを使わない!?

2019年7月27日

はじめに

日本では当たり前のように部屋に設置されているエアコン。暑い夏には欠かせない存在ですよね。
しかし、フランスではほとんどの家庭にエアコンがありません。

「エアコン売っていないの?」と疑問に思う方がいると思いますが、お店に行けばエアコンは売っています。2003年に欧州を襲った熱波により、フランスでは高齢者を中心に約15000人が犠牲となりました。それ以来、フランスでは扇風機と一緒にエアコンが店頭に並ぶようになりました。

にもかかわらず、なぜフランスの家庭にはエアコンがないのでしょう?

フランス人がエアコンを使わない理由と室内での暑さ対策をまとめてみました。

フランス人がエアコンを使わない理由

過ごしやすい気候

フランスの夏は短いです。地方によって差はありますが、パリでは6月下旬ごろから徐々に気温が上がり始め、8月になると30度を超える日は珍しく、少し肌寒く感じる日もあります。

また、日差しは強いですが、湿気がなく空気がカラっと乾燥しているので、日本のようにムシムシした暑さはありません。そのため、猛暑日でも、日陰や木陰に入ればやや涼しく感じます。
室内でも窓を開け、風通しを良くしていれば、快適に過ごせます。

1日の気温差が激しく、最高気温が35度を超える日でも、朝晩は20度前後まで気温が下がり、ひんやりとしています。

異常気象(熱波など)を除けば、フランスの夏は非常に過ごしやすい気候なのです。
こうした気候条件のため、フランス人はエアコンを使う必要性をあまり感じていないのです。

エアコンを使うと余計に暑くなる

「エアコンを使うと余計に暑くなる」と多くのフランス人は考えています。
「えっ どうして?」と疑問に思う方もいると思います。事実、私もその1人でした。

日本にいた時は、暑い時にはエアコンを使って当たり前、エアコンを使うことに何の罪悪感もありませんでしたが、フランスに来てからエアコンに対する考え方が変わりました。

その理由は、エアコンを皆が使えば、使うほど、地球の温度が上昇するからです。エアコンを使うことによって、電力が大量に消費され、多くのCO2(二酸化炭素)が排出されます。その影響で地球温暖化が加速してしまうのです。つまり、エアコンを使うことは温暖化を進めているということになります。

環境問題に高い関心を持っているフランス人は非常に多いので、こうした理由から、エアコンを好んで使わない人が多いのです。私の夫(フランス人)もその1人です。

パリに来た当初、エアコンが地球温暖化に関係していることを知らなかった無知な私は、暑かったので、『エアコンが欲しい』と夫にお願いしましたが、即却下されました(笑)

エアコンの設置が難しい

パリの建物はとても古いので、エアコンの室外機を取り付ける場所がありません。
なので、フランスの家庭にエアコンを設置するのは非常に難しいのです。

パリのお店では、床に置くタイプのエアコンをよく見かけますが、ホースを外に出すために窓を開けないといけないので、部屋がちゃんと冷えるのか疑問です。

光熱費がかかる

節約志向のフランス人。無くても生活できるものには無駄にお金をかけません。

室内での暑さ対策

日中はブラインドを閉める

パリでは夏でも朝晩は20度前後なので、朝の涼しい時間帯に窓を開け、空気を入れ替えます。部屋に日差しが当たる日中(午前10時から午後10時頃まで)はブラインドを閉め、太陽の熱で部屋の中を温めないようにします。日が落ちたら、ブラインドを上げて、窓を開ければ、夜の涼しい風が入り、夏でも暑くて寝苦しいといったことはありません。
この方法は昔から行われているパリでの暑さ対策らしいです。

濡れた洗濯物を干す&床を雑巾がけ

濡れた洗濯物やシーツを窓際(室内)に干したり、床を水で雑巾がけすることによって、空気が冷え、涼しさを感じることができます。ちなみに、パリでは景観を守るため、洗濯物の外干しが禁止されています。家事の一環として暑さ対策ができるのは嬉しいですね。

家電製品の電源は切る

室内の温度を下げるために、使っていない家電の電源は切ります。パソコンやテレビなどの家電製品は電源が付いている間は常時、熱を発し、その周辺の気温を上昇させてしまうからです。
なので、必要がないとき以外は電源を切り、熱を発生させないようにします。

観葉植物を置く

観葉植物は水分が蒸発する際に空気中の熱を奪って、室内温度を下げてくれる効果があります。
また部屋に観葉植物を置くことよって見た目も涼しくなります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
日本の夏のムシムシとした暑さに比べたら、フランスの夏はエアコンがなくても過ごしやすいのですが、最近では温暖化や熱波の影響で40度近くまで気温が上昇することもあり、暑い時は暑いのです!

ですが、フランスに住む人たちはエアコンを使うことが困難、あるいは、使用したくないので、様々な知恵を絞って、部屋を涼しくするための工夫をしているのです。

日本でエアコンを使わずに夏を乗り切るのは、死活問題にもなり、なかなか難しいと思いますが、地球温暖化のことを考えると、エアコンの使用はできるだけ控えたいですね。